人材しくじり話

自信を失っている若手に必要なのは場数じゃない

うちの業務は、工業機械の不調をメンテナンスすることで復調させることです。

ですので、機械の数だけ対応のパターンがあります。

つまり一定以上の応用力が必要であり、マニュアル的な業務習得がまずもって困難。

若手で、なかなか仕事の覚えが進まないDという従業員の話をさせて下さい。

仕事に対する気持ちは他の若手と変わらず、当初はやる気に溢れていました。

しかし、徐々に自身の仕事覚えの悪さから、気持ちが萎えてきたのです。

それは、朝から業務に取り組み、夕方頃には感覚的に慣れてきても、翌日には全く別の業務になり、前日までの慣れがゼロになってしまう、そんな不毛な感覚だったようです。

勿論、応用性ありきなので、そういった経験はゼロにはなりません。

しかし、Dにとってはそれらの仕事に繋がりがあることを理解できなかったのです。

Dの気持ちが萎えていることが分かったので食事に誘いました。

Dは、今の自分の感覚や、陥ってる気持ちなどを忌憚なく話してくれました。

それは「全く前に進んでいない…何年経っても新人のままでスキルがついていかないという虚しさ」でした。

確かに覚えは良くないのですが、Dが新人のままのスキルということはありません。

Dは、こちらが思っている以上に、自信を失っていたのだと思います。

私はこれまでの経験値として、信仰に近い感覚で「場数が人を育てる」と考えていました。

酒が入っていたこともよくなかったのかもしれませんが、私はDに「場数を踏めば慣れていくよ、そんなに心配することじゃない!」と言い放ってしまったのです。

今にして思えば、もっと細やかなアドバイスを求めていたんだと思います。

「具体的に覚えが進まないケースがどういったものか?」

「既に習得出来ているケースはどうなのか?」

などを詳しく把握してやり、

「それならばこうすれば(こう考えれば)良いのではないか?」

と、小さくなってしまった自信の芽を、今一度育むことも出来たはずでした。

Dは自信喪失している状況で「場数」という、自身の未来が見通せない返答しかもらえなかったのです。

残念ながらDはその1か月後に退職してしまいました。

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