あなたの企業での採用活動の主な目的は何ですか?

欠員補充が目的、人員確保。

これまでの採用活動で特に重視してきたポイントは何でしょうか?

これまで計画性や必要人材の明確化は無く、足りなくなったら補充する運用だった。採用手法は社員紹介が多く「良い人がいるのですが、どうですか?」という感じ。

過去の人材における 大きなしくじりは何でしたか?

先代の社長、つまり私の実の父の話になります。

もしかして、よく有りがちな話になるかもしれませんが…まぁ、昭和の経営者を絵に描いたような人でした。

「俺の言うことを聞け」という完全なワンマンスタイルです。

教育する姿勢やフィードバックが乏しく、恐怖によるトップダウンがずっと続いてきました。

それは、先々代からの流れなのかも知れませんが、父の中ではそれが当たり前だったのだと思います。

家庭の中であっても、彼のスタイルは変わりませんでした。

私には、怖い父の記憶しかありません。父が帰ってきたら、子供たちはリビングから自分の部屋に逃げ込むような…そんな感じでした。

7年前、事業承継ということで、私が次期社長ということが発表されました。

私は他社で社会人経験はありましたし、この会社でも一定期間の経験を積んでいたので、問題なく引き継ぎが出来るであろう…そう考えたのだろうと思います。

しかし、父の圧を長年受け続けた私は、仕事に対するモチベーションも低く、どのように振る舞えばよいのかが分かっていませんでした。

自信も無かったのだと思います。

私は父のような強い言葉を投げるようなタイプではなく、出来れば皆で話し合いながら会社を運営していきたいという思いがありました。

しかし、その頃から離職が目立つようになってきたのです。

おそらく、後を継いだ私の頼りなさも、そのまま将来の不安に繋がったのかもしれません。

そしてこの後、会社にとっての大きなつまずきが待っていました。

製造を行う工場から火災が発生してしまったのです。一部のラインを残して、建物の大半は焼失。

原因は漏電によるものだったのですが、日頃の掃除やメンテナンス不足、ゴミの堆積なども考えられるので、現場のモチベーション低下が安全管理に影響した可能性は否めません。

何とか製造を再開出来ないかと、ほうぼうを駆けずり回る日々…しかし、なかなか元の状態には戻せませんでした。

そうした中、慣れない環境と将来不安から、離職がさらに増加していきました。

幹部クラスの離職が続いて、将棋倒し的な連鎖離職が起こる直前のことでした。

若手の幹部のひとりが「このままでは皆が辞めていく」ということに危機感を抱き、新社長の私に強く進言をしてくれたのです。

それは私にとって、現状を突き付けられる…そんな辛い体験でした。

でも、退路を断って、ここで踏ん張る覚悟が出来たのです。

その経験から何を学びましたか?今後にどう活かしますか?

まずは、当たり前にやるべきだった掃除など…環境整備から、率先して始めました。

当初は協力してくれる社員はいませんでしたが、徐々に変化が現れました。

手伝ってくれる社員が増えてきたのです。

そして社内の整理・清潔化が進みました。

実は進言してくれた若い幹部も心身をきたす程、弱っていたのですが、復調して今も頑張ってくれています。

希薄だった社員との関係性を意識し始めることで、昔ながらの体質からの脱却を本気で考えるようになりました。